2026年4月コラム=春風=河津桜(かわずざくら)の候

コラム

=春風=河津桜(かわずざくら)の候

 「春風」という言葉は、なんて人々の心をほぐす響きをもっているのでしょうか。七十二候の立春の初候にも「東風凍を解く(はるかぜこおりをとく)」とあるように暖かな東寄りの風が吹いて、川や湖の氷が解けだす頃とされています。
 また、三月の二十四節気の「啓蟄」(けいちつ)は冬ごもりしていた虫たちが春の気配を感じて土中からモソモソと這い出し顔を出すということですが、当然、春の陽気によって私たちの心持ちも穏やかになり、表情も厳しい寒さの中にいる時と比べると、幾分やわらいでいることでしょう。
 一月の「大寒」の頃は、何人かの方々から厳しい寒さによるご体調の変化やお怪我のご報告を受けて心を痛めておりました。でも立春という言葉のマジックにより心が徐々に華やぎ、陽に向かいます。さらに伊豆では早咲きの河津桜が咲いたというニュース、二月の二十日頃でした。河津桜が咲く二月〜三月はまだ気温が低く、この冷え込みのお陰で長く花を楽しめるということです。人は自然の気の流れにあらがうことはできません。天意に従い、また太陽の日差しに感謝する素朴な生活に憧れるこの頃です。自然の摂理で今年も約束通り咲いてくれる愛おしい花々に会いに行きたいと思った早春の日です。

(注) 「東風」を「こち」と読む場合もあります。
東風(こち)吹かば  にほひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ」  菅原道真

会長 伊藤聖優雨