=昨年の冬至の日のこと=鬼柚子
令和七年十二月二十二日は冬至でした。その日の夕方、隣家の奥様に「柚子はありますか?無ければお持ちします。」と言われ「ああ、今日は冬至だ。」と気がつき二十四節気をすっかり忘れていた恥ずかしさ、不甲斐なさ。情けないまま、台所に行くとすでに長女が柚子と南瓜を用意してありました。忘れていたのは私だけだったのかとぼんやりした頭を振りながら苦笑いし、この暮れの一入の忙しさをしみじみと思い返しつつ夕飯用の固い南瓜を切り始めました。
冬至は一年で最も昼が短く夜が長い日、そのため陰の気が最も強まる時期とされていますが「陰極まれば陽が兆す」という原理で冬至から後は次第に昼間が多くなって光と熱を増してきます。そこで冬至は陽の気が兆す一陽来復の日として未来への希望をつなぐ大切な日とされました。農耕生活には太陽の光と熱は穀物の成長には絶対に必要なものですから、人々にとっても明るい暖かい春の太陽への強い感謝とあこがれから日々の営みが上昇に転じる明るい日だったことが頷けます。また古くから強い香りには邪気を払う力があると信じられており、冬に旬を迎えるゆずを使い人々は冬至にはゆず湯に入って身を清め、邪気を払う習慣を続けてきました。
そして私は、美味しく煮えた南瓜と柚子湯で満たされたものの、長年手塩にかけて培った「邪な気」はそう簡単には拭うことができないまま新年を迎えることになったという年末でございました。
会長 伊藤聖優雨
