=小満=菖蒲の候
様々な花が咲き誇った春でした。今はつやつやと光輝く新緑の初夏を迎えています。キリッとした心持ちで緑のシャワーを浴びながら歩きます。生きていることを実感できる瞬間。万物も陽気に満ちて、草木も実をつけ育み始めます。ビワの実、椿の実、人々はその天然の薬効の恩恵を受けることになります。なんて幸せな有難いことでしょう。しかし、少し前、新聞、テレビ、ラジオでは連日十三年前の東日本大震災のことが多く語られ、また報道されていました。改めて、被害の大きさ、津波の怖さ、人々の苦しみ、悲しみを深く受け止めました。崩れ去った建物や道具、目に見えるものはいつか修復できても、家族や友人との思い出、それにまつわる後悔などはいつまでも消えず、残酷です。あの時こうしていたら…、あんなひどい言葉を母さんに言わなければよかった。辛い日々です。でも、この体験から他人の痛みを共有できる人になり、人生に厚みができるはずです。復興ピアノが各地を回り様々なドラマを抱えた人達の演奏が流れていますが特に「花が咲く」を聞いていると気持ちが安らぎ、同時に明るい未来を信じる力が湧いてきます。一方で、SNSの拡大で大切な言葉が人々の心に届かなくなっているように感じます。人と人の心のつながりは簡単には得難く尊いものです。 会長 伊藤聖優雨
2024年5月コラム=小満=菖蒲の候
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